IDC Japanは6月27日、国内オペレーティングシステム(OS)市場の2010年の実績と2015年までの市場規模予測を発表した。2010年の国内OS市場規模は、クライアントPCとサーバの出荷好調で前年比7.4%増の1847億8700万円になった。2010~2015年の年平均成長率(CAGR)については、2.1%減と予測している。
2010年の国内クライアントOS市場は、前年比7.4%増の1109億9300万円。クライアントPCの出荷台数が15%以上と大幅に増加したことで、市場構成比の90%以上を占めるWindowsの売上額が6.0%増加したことが大きな要因と説明している。特に企業向けの売り上げが大幅に増したほか、Mac OSも20%以上の売上増加と非常に好調だったという。
2010~2015年のCAGRは4.0%減と予測。東日本大震災の影響による需要低迷から、企業向けを中心に2011年はPCの出荷台数が大幅に減少、クライアントOSの売り上げも10%以上落ち込むと見込んでいる。2012年は企業におけるWindows 7への本格的な移行とあわせて買い替え需要が増加するが、2013年以降は再びマイナス成長に転じると予測している。
2010年の国内サーバOS市場は、前年比7.4%増の737億9500万円。x86サーバ出荷の好調により、Windowsは15%以上の売上増加となったほか、仮想化対応としてゲストOSの搭載数制限が緩和される上位版の売上比率が増え、単価が上昇していることも大幅な伸長の1つの要因にもなったとみている。一方、2004年から長らくマイナス成長を続けてきたUNIXは5%のプラス成長に転じ、ようやく下げ止まりを見せた。Linuxも2ケタ成長を達成し、高水準で安定した成長を維持しており、2010年でUNIXの市場規模を初めて上回る結果となったとしている。
2010~2015年のCAGRは0.6%と予測している。クライアントPCと同様、2011年は東日本大震災の影響によりサーバ出荷が落ち込み、サーバOSも6.8%のマイナス成長を見込んでいる。2012年にはいったん回復してプラス成長になるが、2014年がx86サーバの更新サイクルの谷間でマイナス成長になると見込んでおり、CAGRは0.6%にとどまるとみている。環境別のCAGRは、Windowsが2.4%、Linuxが5.5%でプラス成長、UNIXは1.7%減、メインフレームは5.6%減になると予測している。
IDC Japanの入谷光浩氏(ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリスト)は「仮想化の普及により、仮想環境上でゲストOSを稼働させるケースが急増している。サーバOSは仮想環境対応のライセンス体系が整備され、その効果も出始めている。一方、クライアントOSのライセンス体系も徐々に対応されてきてはいるが、その仕組みや計算が複雑で難しく、デスクトップ仮想化の導入障壁となっているケースも少なくない。ユーザー企業が理解しやすいライセンス体系が早急に望まれる」とコメントしている。